2021.7.24
アルミの表面処理
アルマイト処理の豆知識③ アルマイト処理の工程を紹介します
①ラック(治具)への取り付け
アルマイト処理したいアルミ製品を電解液で浸された槽の中に投入するため、ラック(治具)に取り付けます。事前に、対象のアルミ製品には、ラック掛けに利用できる貫通穴やタップ穴があるかどうかを確認します。
ラック掛けに利用できる穴が無い場合は、製品を挟みつかむ爪型のラック(治具)が必要です。
その場合、ラック爪とアルミ製品の接点部分ではアルマイト被膜が成長せずに「爪痕」として、未アルマイト部分が残ってしまうため、製品性能や外観に影響しない箇所を選ぶ必要があります。
②前処理
前処理ではまず、アルミ製品の表面の油分を除去するため、「脱脂処理」を行います。
アルマイト処理の仕上げ方で、製品に光沢をだしたい場合、または梨地にしたい場合など、薬品による化学研磨の処理は、この脱脂処理後のタイミングで行います。
③アルマイト処理
ラック(治具)に取り付けられたアルミ製品を電解槽に投入し、電気を通電させます。
アルミ製品を陽極(+)とする電気分解によって製品表面から気泡が生じ始め、アルマイト皮膜が生成されていきます。これが陽極酸化処理です。
電解槽での浸漬時間の経過に伴い、アルマイト皮膜は微細な六角形をした中空状の柱が並ぶように、製品表面の「材料内側」と「表面外側」の両方向に成長しながら膜厚が形成されていきます。
カラーのアルミ製品にしたい場合は、電解後に水洗いをして着色したいカラーの染色槽に投入します。カラー処理は、アルマイト被膜として構成する六角柱のピンホールの穴の中に、染料を流し入れるイメージです。
染色しない場合は、アルマイト処理後に後処理として、封孔処理を行います。
④封孔処理
アルマイト処理済みの製品の表面には、微細な六角形をした中空状の柱が並ぶアルマイト被膜が成長しています。その六角柱の穴をふさぐために、封孔処理を行います。
封孔には、水蒸気または沸騰水で処理する科学的処理法と、有機質または無機質により電解する電気化学処理法があり、それぞれ特徴がありますが、いずれもピンホールに「フタ」をするイメージです。