2022.3.01
アルミの表面処理
アルミの表面処理における、前処理の重要性について
めっき加工等、表面処理の際には、素材の特徴に合わせて錆や油汚れなどの付着物、異物の除去作業が必要であり、この工程は一般的に『前処理』と呼ばれています。
特に、めっきの前処理で大切な『脱脂洗浄』は、お化粧をすることに例えるならば、下準備として洗顔や化粧水などでメイクしやすい肌の状態を整える事に似ています。
その洗顔にあたる『脱脂洗浄』がなぜ必要かというと、
・機械油
・成型用潤滑油
・防錆油
・研磨剤の残り
・金属スマット
といった、プレス、鋳造、切削、研磨、溶接、熱処理などによって付着してしまった様々な汚れが素材の表面に存在します。これらが残留されている表面状態ではめっき自体の密着性が悪く、きれいなめっき皮膜を付けることができず「めっき不着」・「めっき剥がれ」・「めっきふくれ」などの、めっき不良となり製品不具合の原因となってしまいます。
脱脂洗浄には溶剤洗浄、アルカリ浸漬脱脂、アルカリ電解脱脂など様々な方法がありますが、重要な事は、その金属の特徴に合わせた前処理の方法を模索する事です。特にアルミの場合、アルミ材は非常に酸化しやすい金属でもあり、酸に浸漬させて酸化膜を取り除いても、その後の水洗いで再び酸化膜ができてしまい、密着性を保つ事ができません。
アルミ材をめっきする際には、『ジンケート処理』と呼ばれる『亜鉛置換処理』を行います。
アルミ材の表面に亜鉛の被膜を被覆させて硝酸溶液で剥離し、再度、亜鉛置換する方法を『ダブルジンケート法』といいます。
現在はこのダブルジンケート法が一般的なアルミへの前処理方法であり、亜鉛置換されたアルミ表面においては、水洗い後の状態でもめっきの加工が可能になるのです。