アルミニウムの歴史とは
軽くて強い、そして切削加工に適したアルミニウム。航空宇宙から身近なOA機器まで、アルミニウムは今でこそ様々な産業で使用される「万能な非鉄金属」として広く知られていますが、実はアルミニウムはそう歴史があるわけではありません。
人類が鉄を見つけて使い出したのは、いわゆる石器時代に遡るほどとても長い歴史を持っています。4世紀ごろには中国にて製鉄が行われたという事が言われています。
それでは、アルミが世の中に出てきたのは、いったい何年くらいからなのでしょうか? アルミニウムの精錬法としての、いわゆる電解精錬法が確立されたのは、1886年のことです(ちなみに、アメリカのホールと、フランスのエルーがほぼ同時期に手法を確立したことから、この電解精錬法はホール・エルー法とも呼ばれます)。
アルミニウムは地球上で3番目に多い元素なのですが、アルミニウムとして地球上で初めて認識されたのは、1886年よりももっと前に遡ります。フランスの科学者ラボワジェが、1782年に「明礬石(みょうばんせき)は、どうやら還元が難しい金属酸化物である可能性が高い」という学説を発表した後、イギリスのデービーが、1807年に明礬石(みょうばんせき)を電気分解して得たものを、アルミアムと名付けました。そう、これが現在のアルミニウムの語源になるんだそうです。
その後も、アルミニウムにまつわる発見は続きます。現在のアルミニウムの原料として知られるボーキサイトが、1821年南フランスのボー村でフランス人科学者のベルチェによって発見されたり、さらにデンマークの物理学者であるエルステッドやドイツの科学者であるベーラーは、電解精錬法ではなく化学的な方法によってアルミニウムの分離に成功しています。
アルミニウムなどの非鉄金属、および金属は、いかに効率よく精錬するかが工業化のキモになる訳ですが、アルミニウムも同様の歴史をたどります。アルミニウムのいわゆる「精錬」を初めて成功させたのは、フランスの科学者ドビルであり、それは1856年のことでした。ドビルが成功させたのは化学還元法でしたが、その後はアメリカでの発電機の発明などもあいまって、前述のホール・エルー法と呼ばれる電解精錬法が発明・確立されていきました。19世紀の後半になると、湿式アルカリ法と呼ばれる精錬法が編み出され、アルミニウムの原料であるボーキサイトからアルミニウムを作り出す製造方法が確立されて、アルミニウムが大量生産でき、本格的に工業的に検討・採用される時代の幕開けとなったのです。
ちなみに、我が国日本では、いつ頃からアルミニウムが生産・使用されていったのでしょうか? 日本でアルミ製品が初めて製造されたのは、1894年と言われています。1894年といえば、明治27年。日清戦争が始まった年です。この時には、軍人が身に着けるような小物にアルミは採用されていたようですが、その後日本でも工業的に生産が開始されて、1897年には民間企業が日本で初めてアルミニウムの板の生産が始まることになりました。
また、アルミニウムといえば、いわゆるプレートやブロック形状の他に、現在では金型に溶けたアルミを吐出させ任意の形を得るダイカストが自動車などの産業で広く使用されていますが、日本でもアルミニウムの生産が始まって20年後の1917年にはダイカストの生産が始まっています。アルミダイカストの歴史は、日本では100年くらいしか経っていないわけですね。
その後も日本では、アルミニウムに関する製造・開発が進んでいきます。今でも航空機に使用されるジュラルミン・超々ジュラルミンの開発や、銅芯アルミニウム電線、アルミニウム粉などの生産体制が整備され、どんどん世の中に広まっていきました。
アルミ切削.comが提供している、大型マシニング加工などの切削サービスは、当然ながらこれらの歴史の上に立っているのですが、我々が行っているビジネスも先人が築いてきたからこそ成り立つわけで、とても感慨深いものがあります。