2018.8.17
アルミの豆知識
アルミニウムの持つ機械的性質と特性
非鉄金属の代表的な材料の一つにアルミニウムが挙げられます。アルミニウムは一般的に純アルミニウムもしくはアルミニウム合金として使用されます。そしてアルミニウムは製法によって「展伸材」と「鋳物材」の二つに分類されます。アルミニウムとアルミニウム合金の大部分は前者の展伸材と呼ばれるものです。展伸材は板材や条、棒、線、管、形材、鋳造品、箱の経常のものを指しており、逆に後者の鋳物材とはアルミを砂型や金型に流し込んで固めた鋳物のことを指します。鋳物材の特徴として複雑な形状の部品や製品の生産が可能な点が挙げられます。また大量生産を行う場合にはダイカストという製法を用いて短時間に大量生産を行えるのです。
アルミニウムは数多くの部品や製品に用いられていますが、アルミニウム合金が選ばれる理由にはその軽さが挙げられます。アルミニウムの比重は約2.7と鉄の3分の1程度の軽さなのです。この軽さという最大の特徴を生かし、今までアルミニウムは航空機などにも用いられてきました(なお近年ではアルミニウム以外にもチタン合金や強化プラスチックの使用も増加しております)。
また軽さ以外にもアルミニウムがこういった部品に多く用いられる理由は存在します。アルミニウムは鉄鋼材料と異なる性質ではありますが、添加元素を加え合金とし、それらに熱処理を行うことで様々な性質を持たせることができる、ということです。そういった特徴も工業用途での利用が多い理由です。そしてこの場合、アルミは熱処理をして用いる合金と非熱処理合金の二つの分類に分けて考えることができます。
また、アルミニウム合金は他にも様々な性質を有しています。具体的には比強度の高さや鍛造性、加工性、耐食性、装飾性、無毒性、真空特性の良さ、電磁波や熱の良好な反射、リサイクル性など多岐にわたっています。
アルミニウムは以上のような特性を有しているため、工業用途の多くで用いられます。切削加工やプレス、ダイカスト製品の生産量はたいへん多く、これらのデータから示されることとしてアルミニウムの加工の良好性が挙げられます。
また、アルミはその表面にアルミナと一般的に呼ばれるセラミックスの一種をまとっています。アルミナとはAI₂O₃(酸化アルミニウム)というものでセラミックスの代表的な物質の一つです。AI₂O₃はアルミニウムの両性酸化物であり、酸化への優れた耐食性を有します。このアルミナの膜はアルマイト処理(陽極酸化処理)で人工的に作り出すことができ、耐食性の強化が可能です。
さらに熱伝導性においても高い値を出し、純アルミニウムは特に電気伝導性が優れています。どれほど優れているかですが、アルミニウムは驚くべきことに鉄の約3倍の熱伝導率を有しています。鉄鋼材料ならば低温の環境下では脆性破壊を起こしてしまいますが、アルミニウムはそういった危険がなく使用できます。こういった性質を「低温靭性」と呼びます。
最後に耐熱性についてですが、アルミニウムの融点は約660℃で、金属の中ではきわめて低い分類になります。実際のところ、200℃を上回れば機械的強度の低下が目立ってしまいます。これは一見悪いことのように見えますが、鋳造性が良いことの裏返しでもあるのです。融点の低さのほか、溶けた状態のアルミニウムは表面がAI₂O₃の膜で保護されるため、周囲のガスを吸収してしまうこともなく、湯流れも良好なので鋳造しやすい材料になるのです。